出発に向けての準備とトレーニングは順調に進んでいる。レゾリュートは理想的な場所である。
我々が到着した時、レゾリュートは快晴で−40度だった。
太陽は高く上がらないが、一日のうちほとんどが明るく、私が想像していたよりも明るい。

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地平線上に浮かぶ太陽、カウスィートトック・インズ・ノース・ホテルの外にて撮影。
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ここ数日は曇りがちで、風もあったが-25℃と暖かかった。しかし、実際の体感温度は風があるため、もっと低く感じる。
少しでも注意を怠れば、すぐに我々の手は凍傷になってしまうだろう。
しっかりと手袋をはめ、必要なときにだけ手袋を取るようにしなければならない。
おそらくスタート地点のワードハント島は、ここよりも日は短く、気温も低いだろう。
ここでの滞在はとても重要で、トレーニングや装備の点検、そして極寒環境への順応などの機会を与えてくれる。

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ホテルの支配人ルーカスはとてもいい人で、どんな質問にも答えてくれる。
それに加え、彼は「魔法の指」をもった便利屋で、彼のスタッフと共に、我々にとっては大きな助けだ。
彼らのサポートにはとても感謝している。
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現在、我々は装備の改良を行っている。順調に進んでいるが、過酷環境に耐えうるように準備しなければならない。

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スキーの裏にシールをはかせる大場。シールをはかせる事で、前には滑るが、後ろに滑らなくなる。
そりを引く時や丘を登る時などに必要となる。
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ソリの準備をしているステパン
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サーモス(水筒)のお湯をより長時間暖かく保つために、銀マットを使ってカバーを作るホバート
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もしもの時に備え、ライフルが動かなくなる等の機能障害が起こらないように慎重に準備しなくてはらならい。
ライフルは手動式の方がよい、なぜなら可動部分が少なく、丈夫で強力な貫通力があり、白熊などの相手を阻止する十分な力があるからだ。
ライフルは北極地域を探検する人々に最もよく使用される武器であり、我々も同様である。
カナダは武器の所持に関する規制がとても厳しいが、私たちのような外国人が規制外の武器を借りることは可能である。
もちろん、カナダ銃器センターへ申請書を提出し、許可を得なくてはならない。
残念なことに、拳銃は規制されており、例えば、北極地域で護身用に多用されているマグナム44などの所持許可を得ることは非常に難しい。
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ホテルの外で銃のテストを準備しているホヴァード。
テストする前に、スコープを取り外して、銃をしばらく寒いところに放置するとが大切。
なぜなら潤滑油が凍ってしまい、機能障害が生じるからだ。
例えば、ボルトはきれいにしなければならない、(写真右)そして可動部分にのみ少しだけオイルを使う。
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7m²長方形のセールで滑走するホバード。
このセールにはジッパーでさらに4m²のセールをつけることができ、11m²にすることができる。
このセールは、色々な風に対応できとても便利だ。
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昨日、始めてホテル近くの海氷上でテストを行った。
まもなく我々が直面するであろう状態に限りなく近い状態でテストするのはよいことである。
私とステパンはノルウェーのハリンダル山でスゲール・パーマン氏の指導の下、
2週間スキーセールのトレーニングに励むことができとても幸運である。
あのトレーニングがなければ、いま大変なことになっていただろう。
我々二人のパラセールの腕前はトレーニング終了時とほぼ同等である。
今回の旅の進行具合は、このスキーセール如何にかかっている。

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8m²の長方形セールで練習する大場
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風向きによっては、ソリを引きながらスキー・セーリングをすることはかなりきつい。
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歩いた場合、1日に普通20kmから25km進むことができる。
しかし、スキー・セールを使った場合、いい風さえ吹いていれば、もってより遠くに歩を進めることができる。

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レゾリュート湾に向かってソリを引くホバード
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レゾリュート・ベイの至る所に、一時的ではあるが鎖に繋がれた犬達がいる。
彼らは通常犬小屋の近くに他の犬たちと一緒にいる。白熊の被害を抑止するのが一つの目的である。
もし白熊が近づけば、犬達が騒ぎ、近くの人は気がつくことができ、対処できるのだ。
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チームのみんなで各国の国旗を掲げる。左から、ヌナブト準州の旗、日本の国旗、ノルウェーの国旗、ロシアの国旗。
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ホヴァード・スヴィダル‐ホーガン
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